2015年9月10日木曜日

あまちゃんをつなぐ3つのメタファー

NHKドラマ『あまちゃん』を見ました。

今っ?

はい、たまたまその頃忙しかったし、流行に乗るのとか、なんて意固地になっちゃって(笑)
今になってDVDで13巻見終わりました。

宮藤官九郎の手法にはほんとすごいと思わされることが多くて、

まだ、十分に消化しきれてないので詳細に関する話は今回はおいておきますが、

ストーリーの骨格を形成する3つの重要なメタファーを見つけたのでここに挙げておきます。

1.行動することは水に入ることである
これはアキがおばあちゃんに背中を押されて、海に飛び込むところの周辺ですね。
「海の中では何が起こるかわからない。わからないんだから、後先考えずに、まず飛び込んでみろ」という趣旨のあたりですね。


2.アイドルは琥珀である
琥珀発掘家のもとで修行し(たふりをし)ていたミズタクこと水口君は、アイドルのマネージャーであることを明かした際、「お前のやってることも、一緒だろ」といった趣旨の送別の言葉を師匠からもらいます。そのときは、水口君も視聴者もピンとこないんですが、話が展開してほんと、よく似てるよね、と思わされるようになります。

3.未來は前である、人生は旅である。
これはエンディングの場面。クリシェですね。主人公の二人の少女(から大人になった女の子たち)
が震災で壊れた線路の向こうへ、トンネルを抜けて光の中へ二人で楽し気に進んでいく場面です。未來には何が待ち構えているかわからない。それでも恐れないで明るく歩いていこう。という図柄ですね。ありがちですが、エンディングにはポエティックな要素が入るという言語人類学者片岡邦好さんの話とも符合します。

これら、とくに、1と2は、もっと深層的なメタファーに読み直す必要があるのでしょうが、それ自体はあまり困難なことではないと思います。(言語学者の方へ:Gradyのやったことは、考えれば、生成文法でいうと変形から「原理とパラミータ」へパラダイムを変換したのと相似的ですね)ドラマや物語を包括する大きなメタファーの実例として上げておきます。


2015年9月2日水曜日

映画評 スワロウテイル

面白かった。『リリーシュシュのすべて』の監督岩井俊二の代表作。

ネタバレ注意





あらすじ Wikiより

"円"が世界で一番強かった時代。一攫千金を求めて日本にやってきた外国人達は、街を"円都(イェン・タウン)"と呼び、日本人達は住み着いた違法労働者達を"円盗(イェン・タウン)"と呼んで卑しんだ。そんな円都に住む、円盗たちの物語である。
少女・アゲハ(伊藤歩)は、円都の娼婦であり唯一の肉親である母が死んでしまい、行き場がなくなってしまう。母の同僚の無責任な大人達にたらい回しにされる中、娼婦グリコ(CHARA)の元に引き取られる。胸に蝶のタトゥーをつけ美しい歌を歌うグリコは、それまで名前がなかった彼女に"アゲハ"の名前を与える。グリコもまた、"円"を夢見て上海から日本にやってきた円盗だった。彼女の周りにいるのも、彼女と同じように円を求めて日本にやってきた円盗達だ。アゲハが彼らと共に過ごして数日経ったある日、アゲハを強姦しようとしたヤクザを誤って死なせてしまう。彼の体内には一万円札の磁気データが記録されたカセットテープが入っていた。
ひょんなことから一攫千金のチャンスを得た彼ら。データを元に作った偽札で儲け、グリコは歌手としての道を歩むが……。


ええ~だね。いろんなことが。思ったより古い(1996年)。三上博史が若い!伊藤歩ってあの?普通の女優になったソラニンにでてた伊藤歩?ええ?ええ?チャラってかわいかったんだ。
などなど。
岩井俊二は耽美的だなぁ。ヴィスコンティを思わせる。綺麗な映像。
あと、金を破ったり、燃やしたりするシーンが出てくる。
リリーシュシュでも、初めて売春をさせられた子がその金を泥の中に落として踏みにじる場面がでてくる。
耽美派なんだなぁ。エモーションを描こうとしてる。
三上博史でよかったのか?
うさん臭い似非実業家のような感じにしたかったのか?
光沢(つや)がありすぎたぞ、三上の顔。
伊藤歩の、中国福建省の茶葉の宣伝にでてくるような少女性。
やはり、時代なのか。Yen Town。 中国がほのかな郷愁の宛先だったのか、1996年。

円盗(イェンタウン)[編集]

グリコ - CHARA
上海出身の円盗で、娼婦をしている。本名は「小蝶」。小説版ではフィリピン出身。元々は三人兄弟の末っ子だったが、兄の一人が交通事故で命を落とし、もう一人の兄とも生き別れになってしまう。人を魅了する歌を歌い、テープ騒動の後は「YEN TOWN CLUB」で歌ったことから「YEN TOWN BAND」のボーカルという形で歌手の道を目指す。

とてもよかったです。どうして女優の道に進まなかったか。

アゲハ - 伊藤歩
娼婦の母親を持っていた円盗二世。母親がドラッグの密売に手を出したために円盗の上海流氓に殺害され、その後大人達をたらいまわしにされた挙句グリコ達の元で働くことになる。グリコとフェイホンが離れていく中、偽札を使って幸せを取り戻そうとする。

ほんま、普通の女優伊藤歩と思えません。このころは、ブスでかつ味がある。というか、見出した人、すごいですね。

ヒオ・フェイホン(火飞鴻) - 三上博史
上海系の円盗で、グリコの恋人。テープ事件の後は「YEN TOWN CLUB」の実質上オーナーとなる。グリコに歌手になることを直接望んだ人物。グリコが「YEN TOWN BAND」のボーカルとして成功する中、自分自身は星野の策略で警察に逮捕され、徐々に転落していくことになる。小説版でのグリコの兄である「フニクラ」とキャラが統一されている。

うん、かっこ良すぎなのでは。ともかく、艶がありすぎて、やつれた感じ、寂れた感じがでてない。

リョウ・リャンキ(劉梁魁) - 江口洋介
グリコの生き別れの兄であり、若いながら円盗の上海系流氓を率いる円都の顔役的存在。偽造の名手であり、葛飾組の須藤に奪われた一万円札の磁気データ入りの「マイ・ウェイ」のテープを探している。敵には容赦が無いが、"イェンタウン・ホワイト"というドラッグを打って意識不明になったアゲハを介抱するなど、気のいい一面もある。

いやぁ。若き日の江口の良さ、最大限に引き出した訳かもしれません。

ラン(狼朗) - 渡部篤郎
なんでも屋「青空」の店主。国籍不明だが小説版では「リン」という名称で韓国人という事になっている。「青空」に二人の子供と一緒に暮らしている。クールな性格で、テープ騒動で他の円盗が浮かれている時も自分の生活を崩そうとしなかった。正体はとある諜報組織に所属する殺し屋であり、超一流のスナイパーである。普段は無愛想だが、自分のコネや技術などを仲間のために使うこともある。
小説版では彼が岩井の別作品である『FRIED DRAGON FISH』に登場する少年の殺し屋・ナツロウと同一人物であることが示されており、彼のボスであるトビヤマも、名前だけ小説中に登場する。

かっこいいです。この時期の渡部さんの芸能界での位置づけがわかりません。

レイコ - 大塚寧々
グリコと同じ娼婦。エキセントリックな振る舞いが目立つ。鈴木野と上海系流氓にグリコの情報を売り渡す。

エキセントリックです。エロかわいいです。登場時間が少ない割にすごく目立ちます。

本田 - 田口トモロヲ
音楽会社「マッシュレコード」のスカウトマン。「YEN TOWN CLUB」に出入りし、「YEN TOWN BAND」にデビューすることを持ちかける。
楠木 - 鈴木慶一
音楽会社「マッシュレコード」の重役。グリコに日本人としてデビューすることを薦める。

このあたりにこのあたりの人がでてるんですか~すごいですね!

須藤寛治 - 塩見三省
葛飾組のヤクザ。上海流氓から「マイ・ウェイ」のテープを奪った人物。アゲハに乱暴しようとしてアーロウに窓から突き落とされ、交通事故死する。

ええええええええっ! あまちゃんの勉さん?????ヤクザ!

葛飾組組長 - 渡辺哲
葛飾組の組長。リャンキの「マイ・ウェイ」テープの略奪を指示した人物。

シェンメイ(春梅) - 山口智子
ランと同じ諜報組織に所属する殺し屋。ランの相棒的存在のスナイパー。小説版では彼女の代わりに「ノスリ」という男の殺し屋が登場する。

かっこいいね~

ロック・ドク - ミッキー・カーチス
最底辺の円盗が住む「阿片街」で病院を営む医者。刺青師でもあり、グリコの刺青を彫った。

えええええ。日本人だと思ってた。

以上です。

2015年8月20日木曜日

高校野球

東海大相模(神奈川)4-3花咲徳栄 (埼玉)

高校野球なんてフォローしたのは、20年ぶりくらいじゃないだろうか。

この試合を待ち時間に見てた。1-3で逆転で花咲徳栄がリードした。緊迫した試合だった。

その後、2-3までを見た。花咲が勝ったのかと思ったが、逆転され、サヨナラで負けていた。

準々決勝のことだ。

今、試合結果を見ると、東海大相模が優勝していた。

準決勝、決勝も大差だったので、この試合は決勝戦に等しいような試合だったのではないか。

よい試合だった。

2015年8月18日火曜日

映画評 『クローズ EXPLODE』 面白かった。

暴力は人間の生理である。

高校生の不良の構想の話。それに暴力団の地上げが絡んで、予定調和的にしっくりくる。
こういうのは絶対見ないんだけど、たまにはいいかな、と思って。

配役と目についた役者についてのみコメント。
かっこいいね~身長も高いんじゃない?東大出みたいな名前は見たことがあったけど。189cm、お父さんが剣道の先生、本人が3段、石原裕次郎新人賞。最強男子だな。
転入生。早秋一家大津組の先代組長の息子。あだ名はジョーカー。

この人がですね、ひと癖ありそうなんですね。早乙女太一という人はしらべたら、小さな劇団の女方の人ですね。子供の頃から演技しているだけあって、美男子とはいいがたいもののの何かある、という雰囲気を感じさせます。
A組を仕切る、自称【鈴蘭最小チーム】のリーダー。三枚目だが、実は切れ者。
うーん。悪くはないですね。
鈴蘭喧嘩偏差値二位。強羅をライバル視するが敗北。以降は、強羅率いる【王の軍団】の中核を担う。
あまり興味ないです。
五島劣闘のリーダー格。
この人の、坊主頭がとても似合っています。写真を見ると現代的なふつうのイケメンなんですが、演技なのか、坊主頭にするとそれは迫力があります。
【王の軍団】のNo.2。強羅の右腕。眼鏡をかけている。最終決戦では織田に勝利した。
メガネ男子。ツボ。華奢なのに喧嘩強い。
  • 山下甲兵:ELLY
七森工業から転入してきた。常に野望を露にする危険な男。
実は、三代目J-soul brothers をテレビ(しゃべくりセブン?)でみて、このエリーと、次の岩田(がんちゃん)がでてるということでこの映画を見たくなったのです。エリーはまさにそのまま。そのまま役になってます。
黒咲工業の頭。嘗ての内部抗争の際に左半身に火傷を負う。藤原とは決裂している。
岩ちゃんは、テレビにでたときには韓流スターのようにエレガントな優男で慶応出身のお坊ちゃまという触れ込みでしたが、実はムキムキらしい。顔もこの映画では少しこわもてで、いい味だしています。
黒咲工業の元No.2。少年院に入っていたが、出所後はODAを率いる。最終決戦では強羅を追い詰めるが、柴田に敗北する。目的のためには手段を択ばない。「自分以外は信じない」が信条。
すみません、ドラマの鍵となる役割りを演じるこの人(瑛太の弟?)があまり魅力を感じませんでした。
鈴蘭喧嘩偏差値一位。頂点に最も近い男。【王の軍団】のリーダー。"キングゴウラ""鈴蘭のブルファイター"の異名を持つ。
まあ、悪くないですかね。
  • 中田あや:浅見れいな ちょっといいなと思いました。なんだろう?でもこの人のWikiには、この映画のことは上がってないのです。

  • 鏑木風子:高岡早紀 高岡早紀さん、昔結構、いいなと思ってました。
  • 内田美枝:広瀬すず 広瀬すずちゃん、こんなところにも。いま、一番注目の美少女です。
早秋一家大津組の現組長。藤原らODAを利用し策略を巡らす。
いや~うさん臭い役にぴったりです。

2015年8月16日日曜日

映画評 『真夜中の弥次さん喜多さん』 とてもよかった。

不思議な映画でした。


ネタバレ注意






クドカン初監督作品で、十返舎 一九先生のこの作品をば取り上げるってことは、クドカンっててっきりゲイ?と思ったけど、後でロールを見たらしりあがり寿の原作があるってことでゲイ疑惑は中断。

弥次さん喜多さんっていうと、仲のいい友達二人旅のようだけど、一九の小説では、弥次さんは商家の放蕩息子崩れで49才、喜多さんは、陰間で29才というまあ、男女でいえば、部長とOL、あるいは、金持ちのニート息子→オヤジが年増のキャバ嬢に入れあげて借金まみれでハワイだか北欧オーロラツアーだかに行く感じ?

あらすじ[編集] Wikiより

ワイルドで男らしい弥次郎兵衛(弥次さん)と美貌の役者・喜多八(喜多さん)は、ディープに愛し合う恋人同士。しかし弥次さんには妻(お初)がおり、一方の喜多さんは重度のヤク中で、“リヤル”を実感することが出来ずにいた。ある時ふとした弾みでお初を死なせた弥次さんは、喜多さんを伴って薄っぺらな江戸の町を飛び出し、参拝すれば全ての困難が昇華するお伊勢様を目指して“てめぇ探しの旅”に出発する。
しかし、行く手には笑いをとらないと通れない関所、おはようからおやすみまで全ての言動を歌い踊ることで表現しなければならない町、アーサー王のとろろ汁屋など奇天烈な関門が待ち受けていた。 そして、ついに名峰富士の絶景が拝める吉原にて、最大の試練が降りかかる―――。 リヤルと幻想、愛と生死が交錯する二人の旅路は、果たしてどこにたどり着くのだろうか?

ロードムービーっていうのだな。で、バディムービーでもあるのだな。

残念だったところは、伊勢までいかなかったところ。

面白かったところは、蘇った(偽の)弥次さんが、お伊勢さんに連れていくといって、平成新宿の「伊勢丹」につれていくとこ。幻想なので突っ込むとしわしわと消えていく弥次さんに、「そ、だよね、うん、お伊勢たん、いこう」って合わせる喜多さん。

シュールで、スラップスティック、スラップスティックによくあるのかもしれないが、内容と枠組みの相互作用がでてくる。そこのはブレンド(融合理論の融合)がある。たとえば、最初の方の場面。

***
弥次喜多がアメリカンなバイク!に乗って、現代の高速をつっぱしって、伊勢の近くまで(高速の「伊勢3Km」の緑色の看板)。(弥次喜多は道中姿にちょんまげ、それにちょんまげのついたヘルメットを被っている)

後ろから、岡っ引きの寺島進がやってくる。スクーターにのって十手をもって。

んで、「100kmでてたよ、60kmスピード違反だよ」、と。

この時点で

警官
スピード違反者
バイク
警棒



岡っ引き
スピード違反者
歩き?籠?馬?
十手

という風に、江戸時代の旅行(Input space 1)と現代の旅行(Input space 2)がブレンドされている。

さらに、スピード違反から、寺島進は、次のように怒る。

「江戸時代なら歩くんだよ!みんなああやって(籠を指さし)歩いたり走ったりしてるんだよ」

これはさっきの指摘からちょっと進んでるね。なにがかわからないけど。スピード違反というのは、単に一方のスペースの参与者の知識だけど、「江戸時代ならバイクはつかっちゃいけない」というのは両者の存在を知っている人である必要があり、ブレンドスペースで初めて登場する創発構造だ。


寺島はさらに、一歩踏み出す。

「だいたい、これなに?」(周りを指差す)「何やってるの?」

こたえて、(長瀬)弥次さん  「はあ、ロケです」

寺島 「だめだよ、こんなところでロケなんかやっちゃ。」

ここで、さらにスペースが枠を超える。映画の世界のスペースと現実世界のスペースだ。



さてさて、内容に関しては立ち入らないとして、かなりぶっ飛んでいる。かなりグロいし、かなり妄想的だし、かなりシュールだ。

登場人物、役者考。すごい人数にすごい配役。

これはどうだったんでしょうか。まあ、長瀬君を中心とした映画です。

この人は初めて見ましたが、はぁ、いいですね。カブキはダンスなのかと思い至りました。歌もいいですよ。
遠山の金さんのパロディ。まあ、この方はこの方らしいということで。

いいなと思いました。最後の場面の素の顔が意外に少女っぽいのですね。

ノンノン。最後までだれかわかりませんでした。かつらをかぶると美男子に見えますね。

仕切り方が面白かったです。

上記。

この人は元は何してた人?

竹内力しかできない役、この人をぜひ持ってきたい役っていうのがありますね。

笑わない顔。が面白い。能面のように悲壮な顔。子供と関所で泣き別れになる役でした。現実にお子様をなくされてるという話。

クドカン作品の常連。

IKKOみたいな顔で歌いまくる茶屋オネエママ。

CDが売れている江戸時代の謎の人気者

近未来的な装いでかっこいい研ナオコ。

「夜でもアーサー」というキャッチフレーズのとろろ汁や亭主。エクスカリバーを使って商売をする。

このあたりも懐かしい顔というか。

ちょっと注目しているARATA (『蛇にピアス』以来)。数奇な役で出ていました。

ちょっと注目している麻生久美子(『モテキ』以来)。全裸でキノコが体に生えている役で甘い声を聞かせていました。

この人は、演技がうまいのかなんなのか。

こんな使い方ってあるんですか?3分くらいしかでていない。











2015年8月14日金曜日

映画評 『Wood Job!』 面白かった

DVDの予告で数回見たことがあり、ふんどし姿の染谷翔太が神木の大木にまたがってアタフタしながら落ちてくるところが面白そうで見たいと思っていた。

ネタバレ注意。











あらすじ[編集]Wikiより

高校卒業後の進路を決めていなかった平野勇気は、卒業式終了後に担任から就職先を決めておいたと言われ、母親からは恥ずかしいポエムを暴露すると半ば脅される形で家を追い出され、どんな仕事をさせられるのかも分からないまま、三重県の神去村へとやってくる。
列車を乗り継いで着いた先は、見渡す限り山が続く、ケータイの電波も届かない田舎。勇気が就職することになったのは、中村林業株式会社。山仕事に関しては天才的な才能を持つ飯田ヨキの家に居候しながら、ベテラン社員に付いて現場に出た勇気を待っていたのは、広大な山の手入れ。過酷な山仕事に何度も逃げ出そうと試みるもあえなく失敗、ヒルダニとの戦い、花粉症発症など、辛いことはたくさんあれど、それらを凌駕する雄大な自然に勇気は次第に魅了されていく。さらに勇気は、神去小学校の美人教師・直紀に高望みの恋心を抱き、玉砕しても諦めずに想い続ける。そして、神去村で48年に一度行われる神事オオヤマヅミに、勇気も参加することになる。


都会のひ弱な少年が、大自然の中の過酷だが、暖かい日常の中で成長する物語。
先輩にたたき起こされたり、ヒルにかまれたり、マムシにかまれて耳がとろーんと垂れちゃったり、するなかで、次第にたくましくなっていく。最後は神木に縄に足をとられ、48年に一回の祭りの巨大な丸太の上に乗ってジェットコースターのように女たちばかりが待つ地上に落ちていく。

ただ、そのクライマックスの下地には次の展開がある。
1.自治会長さんに挨拶にいくようにいわれたが、その重要さに気がつかず、家を間違えたまま、挨拶もせずにそのままになっていた。(問題の契機、伏線、フラッグ)
2.よそ者は祭りには参加させん、とする村の人々。その中には、自治会長さんも。(問題の進展、悪化)
3.山に入ってはいけない日(神様が木の数を数えるので、人間が入ると木に数えられてしまう)に山に入ってしまった子供を助けに皆が山に入るが、山の女神?のような手に導かれ、主人公が、その子を見つけて助けて帰ってくる。それは自治会長さんの孫。翌日、自治会長さんたちは、主人公の家にお礼にくる。自治会長さんは、その家を去るときに、最敬礼して帰っていく。(和解)

ま、山の生活あるあるを紹介しつつ、少年の成長を描きつつ、染谷と長澤まさみの軽い恋愛事情を交えつつ、そういった古い社会との相克と和解という要素を複線的に上手につないである。

神が木を数える日、っていうのが面白いね。その話はどっからきたんだ?日本神話?

<役者に関して>
染谷翔太は、園子温の『ヒミズ』から親しみがある。(ま、二階堂ふみのがより好きだったけど)。園作品に出た俳優にはなぜかcricketはすべて好意的だ。園好きなんだろ。染谷翔太には、こんな逸話もあるらしい。

「ソフトバンクの「お父さん」になったりして、絶好調の染谷翔太君。少年なんだよね。睫毛長くて、いい子っぽい。「染谷は早熟で中学生の時から新宿のゴールデン街を出入りしていたそうです。その理由は、満島ひかり、吉高由里子などを見出した映画監督の園子温氏に会うため。」

へ~やるきあるんだ。

石井直紀 - 長澤まさみ

長澤まさみは、『モテキ』であまり好印象がなく、『世界の中心で、愛をさけぶ』をその後に見て、あ~こういうことね、とわかった。性格良さそう。ここでは、「美人過ぎる山林の小学校教師」程度の美しさ。

勇気君も憧れの視線で見てましたが、かっこいいですね!

  • 飯田みき(与喜の妻) - 優香
山の中にこんな美人妻がいたら、ドキッですね。伊勢弁もうまいし、なかなかの好評価。映画で優香みたのは初めてですよ。

タケシ事務所の刺客、マキタスポーツがこんなところにも。この人は芸人よりも、役者のが向いているかもしれませんね。『苦役列車』でも結構いい味だしてましたし。でんでんみたいに、役者で大成するするかも。

この人の伊勢弁もすごくうまかったです。というか、この人の顔はドラキュラ?何系の顔だろう.... 特徴ある顔です。ダイアンの面白くない方と似ています。

いつものへらへらした役ではなく、こわい自治会長さん役。

TOKYO TRIBEにも出てるのか。












2015年8月9日日曜日

映画評 『晴天の霹靂』

TSUTAYAで見たかったDVDを借りてきた。大泉洋は、『清州会議』でなかなかうまかったし。



ネタバレ注意








あらすじ(Wikipediaより)
35歳の晴夫は学歴もなければ、金もない、恋人もいない平凡な男だ。一流のマジシャンを目指すも、気付けば場末のマジックバーで17年間働いている。売れないマジシャンだ。そんなある日、晴夫はテレビ番組のオーディションを受けることになった。彼にとってはチャンスだった。オーディションでの手応えを感じた晴夫は足取り軽く家路に就いた。合否の連絡を待ちながら、華々しい活躍をする自分の姿を想像し、将来への希望を抱いた。そんな折、電話が鳴った。それは彼が思い抱いていたものではなく、父親が亡くなったという警察からの一報であった。父親の死に茫然としている中、青く晴れた空から雷が落ちる。それを機に彼の運命は大きく転換する。
意識を取り戻した晴夫は昭和48年の浅草にタイムスリップしていた。そこで彼は若き父と母に出会い、自らの出生の秘密を知ることとなる。


晴天の霹靂というのは、晴れた日の雷っていう意味で、そこから、ありそうにないことという意味になったんだね。

ここでの「マジック」はもちろん、タイムスリップというトリックだ。

父が「死んだ」うだつのあがらないマジシャンの晴夫は、晴天の霹靂を受けて、昭和の河畔にタイムスリップする。

そして、父に会うんだ。

認知言語学的に見ると、これで、メンタルスペースが形成される。


昭和47年のスペース              現実スペース
晴夫の父                    晴夫の父(老人、死亡)                  
晴夫の母                     (家庭を捨てたと言われている)
晴夫(お腹の中)                晴夫(35才)

そして、晴夫は、インドから来たペペという役名をもらって、中国から来たチンという役名を持つ同じマジシャンの父とコンビを組む。

これはブレンド(融合)だね。フォコニエとターナーの融合理論の。

親子なのに、コンビを組んでいる。それが面白いな。

それから、母親がいない理由を晴夫は次のように聞かされていた。

「父が他に女を作ったので、母は家族を置き去りにして逃げた」

でも、実際には違っていた。

「晴夫を生むときに、胎盤剥離?という障害が起こり、子どもの命か、母親の命か、という状況になり、母はどうしても生みたいといって晴夫を産んで死んだ。」

そして、子供が生まれたので責任を果たさないといけないと思い、父はマジシャンをやめホテルの清掃をして晴夫を育てた、っていうのだ。

っていうと重いだろうから、「俺が女作ってそれで逃げられたとでも子供には言うか」と父はいうのだ。

クライマックスは、死に至る母(柴崎コウ)に、息子の晴夫が、「あなたは、晴夫が生きる理由です。」と伝えるところ。

父は女を作った。
母は俺を捨てて逃げた。

だから俺はダメなんだ。

とずっと思ってた。

でも本当は、自分の命に代えてボクを産んでくれたのだ、母は。

と知って、うろたえた晴夫。そんな大事な命を回りのせいにしてぐだぐだしていてはいけない、と心を入れ替える=一つ大きく大人になる。

熟れないマジシャンとして生きる自信すら失っていた晴夫は、父と二人のコンビで到達した、TV番組に出るオーディションの決勝に一人で出場。お笑いではなく、マジックで人々を驚かせ、大喝采を受ける。





父と子。母と子。類型的な、誰もが持つ関係。類型性があり、感情移入できる。

そして、愛とは自分を越えて他人に関わること。 V. E. フランケル。