2013年12月9日月曜日

ことば工学研究会 (12/6 記述)



語用論学会にいく途中なのだが、その前にことば工学の発表と感想、そこから得られた発想を記述しておきたい。高い空に紅葉が進んだプラタナスが映えるキャンパスで、第44回ことば工学研究会が開催された。はい、いいですよって安請け合いしちゃったから、前日のゼミで子供達と話をするまで、看板やら掲示やら、多少の準備が必要なことを忘れててあせった。6つの発表を聞いたが楽しい会だった。懇親会も鯛の刺身や串焼き、淡路島の日本酒を味わいながら、いい時間を過ごすことができた。(北海道から来た荒木先生が、大阪名物といえば、というのでお好み焼きやら串焼きやらおでんやらを頼んだのだ)。
資料を見ながら発表に対する感想を述べていく。〔以下、現時点で1つのみ書いてあります)

最後に慶応大学大学院福島宙輝さんの「味わいの言語化を支援する「日本酒味わい関係図式」の提案」について。この発表は、簡単にいえば、酒の味を表現する味用語を少数(20程度)の語群に縮約し、それぞれに単純化した図式で表現する。これを福島さんは「日本酒味わい関係図式」と呼んでいる。ここではこれを酒図式と略称することにする。
 酒図式はどのように作られたか。有名な評論家の評論集からコーパスを作り、そこから動詞を抜き出し、類義なものをグループ化して作られた。酒図式はどのように利用されるのか。酒の味を品評する際、それを指し示すなどして、言語化することを助けるために使用される。
 利点。絵が丸っこくてかわいい。検討事項。第1に、どの動詞をグループ化するかが恣意的。第2に、どのような絵で表現するのかが恣意的。第3に、ひとつの語の複数の意義を持ちうると思うが、単独の図式で表すことは可能なのか。第4に、酒に対する表現に限らずすべての動詞を持ってきている。これらの問題を認知言語学と関連づければ、第2はイメージスキーマがどれだけどのようなものがあるか、という点と関わり、第3は、多義説と単義説と関わる。厳密にいえば、多義であっても求心的なものであればよいが、ヴィトゲンシュタインのgameのような、多心的な多義であれば問題が生じよう。


研究会に先立ってKDDI研究所からもお二方が来ていただき、院生の中野さんも交えて有意義は話ができたことも付け加えたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿