2014年2月12日水曜日

関西認知言語研究会 1/下旬

2件の発表があった。

物語世界の構築と指示詞
杉山さやかさん(京都大学大学院) 

「あの」「その」「この」が物語の中でどのような意味を持つかを芥川龍之介作『蜘蛛の糸』とその翻訳を題材にして検討するもの。杉山さんはたいへん優秀な方と思っており、視点を中心とした物語の分析にはとても注目している。今回はややフォーカスが違ったためか、わかりにくいところがあった。指示詞の典型的意味のこれまでの研究のサマリーを明確にだして欲しい。でていたこととは思うが分野に対するこちらの理解が不十分ではっきりと取れなかった。さらに、説明要素にこの過去の日本語学における指示詞の研究以外に、2. 視点の心理学的研究 3. ジュネットの理論を使用している。ここらへんの説明は時間の都合でほぼ割愛されたが、全体の展開として、どのデータをどの理論で分析するのか、意図を明示して欲しい。たとえば、3つの理論があるのなら、それぞれの理論の関係(どのように整合的に収まるのか、または不整合があるならその解消、または今回のデータによって比較など)を事前に明示して欲しいかな。


最近、自分はたいへん批判的になっていてあまり人が寄ってきてくれない。若い人に他人の振りをして伝えておく。一般に自分のことを批判してくれる人の言葉にはよく耳を傾けるべき。その人の意見をよく聞いて、どこにひっかかっているか、自分の意見とどこが違うかを明らかにすることによって自分の理論は驚くほど強くなる。まあ、相手も聞いても分からないと思う人に対しては言わないでしょう。そこは成長するこの上ない、いい機会なので。ぜひ納得がいくまで議論したらいいと思う。そんなときにプライドが邪魔してそこから離れていく人をよく見る。大変、損をしていると思うのだ。


擬音語は「聞く」音?「見る」音?―日英両言語における実験的調査を中心に―
游韋倫さん(神戸大学大学院)

擬音語を日中で比較し実験的に裏付けた発表。大変よくできていた。実験設定も多面的にできていて主張を十分裏付けていたと思う。詳細はご本人の発表のある機会にぜひ聞いてみて下さい。
今回あげられたRQを採録する。

・検討内容 ①視聴覚刺激の有無のよる差異
        ②擬音語の意味の特定性
        ③擬音語の使用の慣習性

①は例えば
音声刺激 (「ぱきっ」という音)
視覚刺激 (「箸を折る画像」または「スイッチを押す画像」)

②は具体的イメージが浮かぶかどうか(「ばきっ」あるいは「ぱちっ」 と特定のイメージ)
③どれだけ擬音語が恣意的かまたは有契的か。(「ばきっ」という音と実際の音がどれだけ似ているか、違っているか。




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