2014年5月27日火曜日

「人間の視覚機能のゲシュタルト原理から 言葉は作られている」

http://ameblo.jp/machisowa/entry-11861721087.html

umeponさんという方の「認知言語学とゲシュタルト」というエントリーです。

「人間の視覚機能のゲシュタルト原理から  言葉は作られている」

という部分が面白く感じられました。

ちょっと検証してみましょう。

ゲシュタルト原理とは「構成性原理」(principle of composition)の裏側です。

構成性原理とは、「全体は部分の総和」という考え方です。

部分の意味を足すと直接全体に意味になりますね。

統語の場合にはややこしいですが、

1.全部の単語の意味を足すと、全体の意味になる
2.全部の単語の意味と統語構造の意味を足すと全体の意味になる

という2種類の考え方があり得ると思います。

後者は形式的統語論者には受け入れがたい仮説でしょう。かといって、1であるわけはありません。ですから、形式的統語論者はこのような問題設定をしないですね。この問題設定は認知言語学特有のものですね。


さて、視覚機能のゲシュタルト原理というのは、フィギュア・グラウンド反転(図地反転)のような話ですね。


http://www.naturalrooms.com/blog/2010/09/post-7.html

すごいな、こんなもの実際に作っちゃった人がいるんだ。

「視覚機能のゲシュタルト原理」というのは補足が必要で、ゲシュタルト原理は視覚機能に限ったものではないでしょうね。静寂があると小さな音がとても大きく聞こえるとか、これなんかもゲシュタルト原理に基づいているといえるでしょう。そして、認知言語学で使われるゲシュタルト原理は確かに視覚的なものを多く使いますが、視覚に限定しているわけではないと思います。

視覚機能のゲシュタルトというのは結局、一次視覚野(後頭部)から入ってくる入力が次第に人間の行動に便利なように加工されて高次の視覚野にそれに対応したニューロンが  できた/ある  ことから、今度は高次の視覚野のある表象が実際の一次視覚野に探されるようになるという現象ですね。古くからある言葉だとトップダウン処理です。トップダウン処理を言語処理に入れる必要があることは論を待たないですね。

次に、「言葉はゲシュタルト原理から作られる」という部分です。

上記から続きますがトップダウン処理を使わない言語処理など認知的にありえないですね。「言葉はトップダウン処理から作られる」という語弊がありますが、双方向の相互作用は既定路線です。

認知言語学、意外に王道かも。











0 件のコメント:

コメントを投稿