2014年6月2日月曜日

『東京島』 桐野夏生 (ネタバレ注意)

 30人なにがしかの男ばかりの無人島に唯一流れ着いた女。そんなえぐい設定が気にはなっていたがそれゆえに読めなかった作品。久しぶりの研究以外の読書としてはサクサク読めてよかった。興味を引いたのは子供の時に死んだ姉?を内包した多重人格者のくだり。人間は自分で自分の能力を閉じ込め、ある特定のスタイルを演じるように自ら強いる場合があるという私説に合致する。
 
 設定の奇抜さ(論文でいえばOriginalityに当たるだろうか)は十分で(もちろん、もしかしたら先行例があるのかもしれないが)オチ(こちらは主張か)もいいと思うのだが、論旨の説得性にやや疑問符がついた。最後の方にフィリピンからの漂流者がやってくるのだがこれが女性ばかりなのだ。それは作者の若い女に対する劣等感をあらわしていると思うのだが設定を破壊するつけたしに思われる。そこで以下のような制約を思いついた。

同型性の制約
物語の設定と結末の参与者は同型性を保っていないければならない

例えば、無人島の設定の中にはフレームとしてその情報やそこに隠された情報がある。その範囲内でなければいけない、ということだ(あれ、やっぱり十分な説明になっていない。。。)。



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