2014年6月1日日曜日

アメフト 総称文 ためいき ダブルチーム

昨日の文書は、2650字であった。まあ、これから一日、4000字、原稿用紙10枚書くペースで、年3000枚ペースを確立するということでいいか。まあ、このあたりのバックステージトークは、後々消していくことにする。
 最近、アメフトのことを考えていることが多い。応援しているチームがオークランド・レイダーズというチームで、そのチームにヒューストン・テキサンズというチームからクォーター・バックが来る。まあ、ここまで話した時点で、NFLに興味も知識もない人がほとんどだろうから、???という内容になろう。
 また話しが一つ戻るが、最近、我々の語彙のオーバーラップ少なさに驚く。学生に「ほかの人がしらなそうな、バイトやスポーツ、趣味(音楽、ダンス等々)の言葉を2つ以上書いてきてください」という課題を出す。そうするともういい大人の私でも全然しらない用語が多くある。つまり、これを反映すると語彙分業説といったものになろう。今、この用語を作成したが、英語では、division of labor theory of vocabularyとでもなろうか。専門家theory of vocabularyといったものがあったと思うがそれと同じだ。語彙の貯蔵は分業されている。その分野にいる人々たちがその語彙を持っている。すべての人がすべての分野にいることはかなわず、すべての語彙を持っていることももちろんない。
 さて、アメフトの話に戻るが、パソコンのスクリーン越しにも見える鮮やかな芝生と青い空のとも、発給ならぬモンシロチョウの卵型をした茶球を追う輝きの背後には複数の知識が存在する。これから書きたいのはフットボールの試合の仕組みなのだが、その前に、オークランド・レイダーズとか、ヒューストン・テキサンズ、オークランド、ヒューストンに関する知識が存在する。
 まず月並みな知識としては、NFLには現在、32チームがあることだ。これは、AFC (American Football Conference)と、NFC (National Football Conference)の二つに16チームずつに分かれる。日本の野球でいえば、セリーグとパリーグと思えばいい。フットボールを知らなくても、野球という異なるスポーツの、コンフェレンスとは違うリーグという名前の異なる国のシステムを知っていることで、理解がごくスムーズにいく例である。ただ、名前はどうあれ、このようなシステムは共有的に利用されているのだと思うので、もっと高次のレベルで汎用フレームが存在するのだと思う。いいなこの汎用という語、genericの訳として。東大の坂原先生、京大の田窪先生のグループが前に書いた「総称」という用語を使用してる。総称は、たとえば、(1)の文を英語でgenericと呼び、日本語で総称文ということに由来している。

(1)A wolf is nocturnus. (オオカミは夜行性だ)

主語が複数形でも単数形でも、オオカミ一般について述べている。こういった文章を総称文という。一方、メタファーの文脈では、Generic is Specific メタファー(スキーマ)というものが提唱されており、ここでは<一般は特殊>言い習わされている。新たな用語を導入すると担って申し訳ないが、汎用は悪くないと思う。
 さて、AFCNFCというふたつのカンフェレンスがあり(情報を見ると「ンフェレンス」となっていた)コンフェレンスにすでに既存の色があるので音訳して「カ」としたのだろうな)それぞれのカンフェレンスは東西南北の4つの地区(division)からなる。4x4=16である。
 こういった知識のほか、それぞれのチームの特徴がある。これなんかは、どこにも規定がないので、個人の印象やその集合としての社会的印象となろうか。オークランドに関していえば、黒人のチームで、ガラが悪く、むかしから粗暴で、ブラックホールというエンドゾーン付近は敵チームや敵チームのファンにとってはまさに地獄というイメージだ。ヒューストン・テキサンズはしらないが(新興チームなので)、ペイトリオッツだったらイケメンQB率いるエリート集団(15年前までは弱小チームだったが)、ダラスカウボーイズだったらAmerica’s teamと呼ばれる華やかなチームなどなどがある。ちなみに、サンフランシスコとオークランドは隣りあわせの都市であるが、オークランド・レイダーズは黒人の悪ガキのチーム、サンフランシスコ49ers(フォーティーナイナーズ)
は白人の優等生のチームだ(野球になると、サンフランシスコ・ジャイアンツが黒人のチーム、オークランドA’s(エーズ)が白人のチームと逆転するところが面白いが。
 サンフランシスコには市内に野球場があり、部屋がいくつもあるマンションに当時すんでいた翻訳会社の社長のヨーコさんのところに部屋を借りていたことがあったが、市内からデイリーシティーにいく高速にいく途中にその球場の横を通ったことが何度かある。青空は薄い水色で、雲がいくつもぽっかりと浮かんでいる。夏の終わりのころだろう。
 さて、こういった知識がすでにその分野を知っている人とそうでない人の間で違い、まあ、かといってそれを知っていないからといってどうというものでもなく、それぞれの人はそれぞれ自分の足を埋めて体をつないでいる人々と共有した分野を持ち、それは仕事だったり、趣味だったりすると思うのだが、あるひとつの分野に対する知識はひとそれぞれで、知識ゼロからちょっとだけ知っているというところまで連続的である。

 昨日の、会話分析の睦まじい話が頭に蘇る。アメリカに留学していて、今は遠い州にいる男女の電話の会話だ。男が車を買ったよといい、女が、え、と一瞬絶句する。そして、名前を聞きたがる。でてきた情報は女が知っている車名ではなかったが名前と値段を聞いて、へえぇ、と本当に深く感嘆する。その情動。「XX(自分の州)まで来てよ」、といい、相手の言葉を待たずに「遠いか」と自分で否定する。明らかにこの両者の関係で女は男に対して弱い立場にある。権力の話に戻ってくるわけだ。会話という一つの閉鎖環境を取り巻く権力の磁場。権力関係はどこにでもある。平等な立場、不平等な立場、その二つしかないか。ただ、その在り方には感情の数だけさまざまなものがあろう。
 
 さて、アメフトの話。11人で行うところはサッカー似ていて、楕円形のボールを使用するところは、ラグビーに似ているが、通常の球技と決定的に違うところがある。それは、攻撃と守備が明確に分かれていることだ。攻撃の際には攻撃用の11人が、守備の際には守備用に11人が登場する。そして、攻守がはっきりと分かれ、その間で時計は止まる。その意味では、野球に近い。さて、今日は、特にラインの話だ。ラインとは攻撃と守備がぶつかる最前線であり、以下の図式に従う。


                  DE    DT     DT     DE
     ディフェンスライン  ●     ●     ●     ●
    オフェンスライン ○    ○     ○     ○     ○
               LT         LG           C           RG          RT

                                                           ○
                           QB


DE= Defensive End
DT= Defensive Takle

LT= Left Takle
LG= Left Guard
C= Center
RG= Right Guard
RT= Right Takle

QB Quarterback


QBはボールを投げる訳。攻撃の司令塔である。ボールはセンターからQBに渡される。LTからRTまでの5人がオフェンス・ライン(OL)と呼ばれる。これは、QBを守る城壁と考えることができる。両端のタックル(LTとRT)は城壁を守る要であり、重要な役割である。特にQBは右利きが多く、そのブランドサイドとなる左側を守るLTにはラインで一番屈強な選手が充てられることなる。この時点で、私たちは例えば、以下のようなメタファーを使用することができよう。

(2) 奴は我がチームの QBだ / LTだ

 さて、オフェンスラインはQBを守る、攻撃の中の防御的役割を果たすため、ディフェンスラインはディフェンスといいつつもむしろ攻撃的な役割を帯びることなる。その中でも特にDEは相手の防御壁を外側から回り込んでQBを捉える力持ちでかつ俊足の運動能力の高い選手が起用されることが多い。DTはそれよりはむしろ巨漢で、相手のランを止めるための主要なブロックの役目をすることが多いが、それもチームによりけりで、真ん中から相手のラインを壊すことができればそれはそれで大変な貢献である。
 さて、たとえば特定のLTが非常に強い場合、ディフェンスは2名をそのLTに割り当てて突き崩す算段をすることがある。これをダブルチームという。これをメタファーで使うとどうなるか。ディベートや企業競争などで、特定の優れた能力を持つ人をマークするために2名なりの要員を費やす。

(3) We need to double-team Mr. Johnson.

といった発話は可能であろう。この際、話者と聞き手は、まず、double-teamのアメフトでの意味を正しく理解していなければならない。
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